【ロンドン笠原敏彦】ブラウン英首相は6日、次期下院総選挙を5月6日に実施すると発表する。英メディアが5日、一斉に報じた。戦後最悪の不況下で、経済復興への政策能力を競う戦いとなる。世論調査でやや優位に立つ野党第1党の保守党は13年ぶりの政権交代を目指し、労働党は初の4期連続勝利がかかる。
最大の争点である経済政策では、財政赤字が1665億ポンド(約24兆円)、対GDP比で11.8%と危機的状況に陥る中、歳出削減と公共サービスのバランス、増税などの是非をめぐり各党が主張を展開。労働党は「急速な歳出削減は景気を悪化させる」と訴え、保守党は「年内の削減開始」を打ち出している。
また、下院では昨春、ほぼ議員総ぐるみで住宅手当などを私生活に流用していたスキャンダルが発覚。戦後最多となる140人超の議員が今期限りで引退し、政治への「信頼回復」も選挙の重要テーマとなる。
各種世論調査の結果は幅が大きく、情勢は流動的。6日付のガーディアン紙によると、各党の支持率は、保守党37%▽労働党33%▽自由民主党21%。現時点の予測では保守党が第1党になるものの、過半数に達しない可能性が強まっている。
いずれの政党も過半数に満たない「ハング?パーラメント(宙づり議会)」となれば、2大政党制の英国では異例で、1974年以来36年ぶり。関係者は、不況下で不安定な政権が誕生した場合のマーケットの反応に懸念を示している。
総選挙は05年以来5年ぶり。07年6月にブレア前首相から任期半ばで政権を引き継いだブラウン首相は、労働党党首として初めて国民の審判を受ける。首相は6日朝(日本時間同日夕)、エリザベス女王に議会を12日に解散する承認を得た上で、日程を発表する。
主な政党の現有議席は▽労働党345▽保守党193▽自由民主党63。下院定数は4議席増えて650となる。今回総選挙では初めてテレビ討論会が予定され、主要3政党の党首が3回にわたり討論を行う。
引用元:大航海時代 情報局